想いはそこにある第7話

【ストレス解消の新習慣】読書が心を癒す理由、知ってる?

プロローグ〜第2話

翌日、慎司、セリナ、優菜の三人は図書館に再び足を運んだ。今回は御神木に隣接する祠について、さらに詳しい情報を探すためだ。優菜の熱心な案内で、古い文献や地元の新聞記事を片っ端から調べ始めた。

祠に関する古い記録

慎司が棚から取り出した一冊の本。その表紙には『楠木町の神事と祭礼』と書かれていた。古びた本のページをめくると、御神木に関連する儀式についての記述が出てきた。

「ここに祠のことが載ってるな……」

慎司が指差した箇所を三人で覗き込む。そこにはこんな一文が書かれていた。

「『御神木の力を制御するため、祠に特別な儀式が捧げられる。この儀式は古来より続けられ、御神木の安定を保つ鍵となる』。」

「でも、それって今でもちゃんと行われてるのかな?」セリナが不安げに聞くと、慎司は首を傾げながら答えた。

「分からない。でも、町の人たちが知ってるかもしれない。」

優菜が別のページを開き、興奮したように言った。

「見て!この祠って、御神木の根元にある祠のことだよね?」

そこには、祠の古い写真が載っていた。現在のものよりも立派で、祭壇のようなものが設置されている。

「でも、今はだいぶ傷んでるよな。」慎司がつぶやくと、優菜は静かに言った。

「儀式は形だけ残ってても、ちゃんと継続できてないのかもしれないね。」

町の古老の話

調査を進める中で、優菜はふと思い出したように言った。

「そういえば、町に詳しいおじいちゃんがいるよ。昔のことをよく知ってる人だから、祠の話を聞いてみるのもいいかも。」

「町の古老か……どこにいるんだ?」慎司が尋ねると、優菜は笑顔で答えた。

「うちのおじいちゃんだよ。田代幸太郎って名前で、昔は神社の宮司だったの。」

「神社の宮司!?」慎司とセリナは目を見合わせた。

「それを早く言えよ!」慎司は軽く突っ込みを入れつつ、期待を膨らませた。

田代幸太郎との会話

その日の午後、慎司たちは田代幸太郎の家を訪れた。古風な日本家屋の縁側に腰掛けていた幸太郎は、優菜に連れられた慎司たちを見るなり、にこやかに挨拶をした。

「おじいちゃん、今日は聞きたいことがあって連れてきたんだ。」

優菜がそう言うと、幸太郎は優しく笑いながら「なんでも聞いてごらん」と促した。

「祠のことを知りたいんです。」慎司が単刀直入に切り出すと、幸太郎は一瞬考え込むような顔を見せた。

「祠か……あれは御神木の力を抑え、町を守るために存在しているものだよ。今でも儀式は続いている。ただ……」

「ただ?」慎司が促すように尋ねる。

幸太郎は少し沈黙してから言葉を続けた。

「祠の儀式を完全に果たすには、人間の大きな『犠牲』が必要だとされていてね。だから、最近の世代では表向きに儀式を行うけど、完全な形ではなくなっているんだ。」

「犠牲……それって?」セリナが恐る恐る聞く。

幸太郎は深い溜息をついた。

「町の繁栄や自然との調和は、御神木の力によって支えられている。その力を完全に安定させるには、人間の『心』が必要だという話だ。」

「心って……何かを失うってこと?」慎司は慎重に言葉を選びながら尋ねた。

幸太郎は静かに頷き、さらに慎司に向けてこう告げた。

「君のお父さんが失踪した理由……それも、この儀式と関係しているかもしれないね。」

慎司の胸の中で、父の影と御神木の儀式が繋がり始めていた。

次へのつながり

幸太郎の話を聞き終えた後、慎司たちは祠をもっと詳しく調べる必要があると感じた。優菜は古い記録をさらに調べることを提案し、セリナは町の住民たちの様子を観察してみようと提案した。

慎司はふと父親の日記を思い出しながら、祠に何が隠されているのか、自分の中で確信が芽生え始めていた。

「祠の儀式……完全に果たされてないなら、御神木が暴走する可能性もあるってことか。」

慎司の胸には、町の未来を背負う大きな責任感が芽生えつつあった。

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